ニホンジカ調査に参加しました

夕方、「シー・シー・シー」という秋の虫の声が聞こえてきました。

この時期のこんな時間が、何とも言えず好きです。

冬はもうすぐ。

でも、冬を前にして、すでに春に向かい、花芽の準備をしている植物もありますね。

自然はいつもどこかへ向かっているなあと思います。

先日、町内のニホンジカの生息状況調査に同行させて頂きました🦌

事前に見た地図の通り、道なき尾根を行くルート。

入口はこちら。

ササヤブです・・・

写真では分かりませんが、結構斜度があるので、ヘルメットを着用します。

調査員の専門家の方によると、この辺りは「チマキザサ」が多いので、ヤブ漕ぎ的にはマシだそうです。

途中の林道から、次々にシカの痕跡を教えていただきます。

「ここの山ブドウはディアライン(およそ2m以下の高さにある枝葉をシカが食べてしまう現象)ができている」

「このササはシカに食われていると」

勉強になる~!!

少し標高が上がると、アスナロが主体で、たまにクロベ(ネズコ)の森になってきました。

林床も、みっちりとアスナロのちびたち。

みっしり~

こんなに沢山、密にアスナロがある森は初めて歩きました。

調査が目的なので、ガンガン歩きます。

私も邪魔にならないよう、必死について行きます。

写真はギリギリで撮ってるのでブレブレです。

さて、調査で何を調べるかと言うと、コレです。

シカの糞です。

糞塊調査といって、生息密度を調べるスタンダードの手法なのだそう。

この日の天気は雨。暗い森の中で、ヤブ漕ぎしながら糞を見つけるのは、かなり難しい!

しかも、針葉樹の実が濡れて、シカ糞にそっくりなのです。

古い糞、新しい糞と、いろいろな糞があります。

これはツヤツヤしていて、新しそう。

かなり標高が高くなってきても、シカの痕跡があります。

こちらは、左右でササの高さが随分違っていますが、シカの影響と思われます。

多雪に耐え、茎も太く、丈夫なササ。ヤブ漕ぎするには物凄く大変ですが、シカに食べられるのには弱いのだそう。

シカに食べられたところは、背が低くて歩きやすいけど・・・

「5年後にはこのササも無くなってしまうかもしれませんね」と、調査員さん。

マジですかー?!

こんなにササで覆われている場所が、短期間で変わってしまう事例を見てきたとのこと。

ちょっと想像できない、したくないけれど・・・😩

標高を上げると、ササ藪が濃くなってきました。

2m以上あるので、全身埋もれてしまいます。すぐ前の人も写真の通り。

このあたりのササは、日本海側の山に多い「チシマザサ(ネマガリタケ)」です。

谷川連峰周辺の山では、森林限界より標高が上がると、チシマザサに覆われた「偽高山帯」になります。

つまり、ササの海!

上部で密に枝分かれするので、行く手を阻む度はうなぎ登り🐟

・・・ですが、そんなササの海の間隙には、シカの糞が。

シカ、どうしてこんな猛烈なヤブを歩くのか・・・

よく見ると、糞の向こう側には水たまり。

ここはヌタ場(体に付いたダニなどの寄生虫を取るために、泥を浴びるぬかるみ)になっているのですね~

シカがここでどんな暮らしをしているのか、少し想像が湧いてきます。

6時半にスタートし、昼頃に目指す稜線まで辿り着きました。

あとはサクッと下山!

と言いたい所ですが、下山も手ごわかった・・・

ただ、調査員さんの適確な判断で、わりと早い時間に降りられました。

ご一緒させて頂き、貴重な経験ができました!ありがとうございました!

ちょっと大変な調査地でしたが、データを作る現場を体験できてました。

経験と体力が必須で、危険も伴う調査。

データの裏に、こんなお仕事があるのですね。

各地の現状を知る調査員さんは、調査は進んでも、対策がイチバン難しい、と仰っていました。

私自身、具体的に何かできるわけではないのですが・・・

いま、自分達の住む地域の自然は、どこへ向かっているのか?

それは知っておきたいと思います。

すごく微力ながら、先日は長野の鹿ジャーキーを買ってみました。

鹿、美味しかったです。