宝川 ナルミズ沢 沢登り 1泊2日

朝日岳の東面、奥利根の至宝と名高いナルミズ沢へ、沢登り行ってきました!
エメラルドグリーンの釜、美しいナメ、草原を歩く「天国のツメ」、からの長めのハード下山の記録。
行程概要
- 日程:2025年8月14日〜15日(1泊2日)
- ルート:宝川林道→ ウツボギ沢出合入渓→ 大石沢出合(泊・デポ) →ナルミズ沢遡行 → ジャンクションピーク→宝川林道
- 距離:約19㎞
- 累積標高差:登り・下り約1500m
- 天候:だいたい曇り、稜線上はキリで寒い
- 行動時間:1日目 6.5時間/2日目:11.5時間
- 装備:沢泊まり装備、50mロープ

1日目:宝川林道から入渓、幕営地へ
初日は宝川林道よりひたすら歩きます。途中の林道は草刈されておらず、ヤブ漕ぎに近い。
そして林道はアブが多め。長袖着ていても顔や指を刺されるので、入渓までは虫よけネットがあると良いかも。
先行者は見当たらず、代わりにクマの足跡。ウンチもありました。当然クマの生息地です。

ウツボギ沢出合から入渓します。
登山道もここで沢の中を通ります。オレンジ色のペンキでマークされています。
ここまでおよそ3時間半。もうだいぶ疲れました(笑)

宝川本流はかなり水量もあり、エメラルドグリーンの美しいカマが続きます。
8月の暑い日でしたが、水は冷ため。
泳ぎたーい!とはならない温度でした。

2時間ほど歩いて、朝日岳東面の大石沢との出合に到着。
左岸は大きなスラブ帯。

この日は出合から少し本流を遡行した所で、なんとなく平らな所を幕営地としました。
幕営適地が多いという情報でしたが、ジメジメした所ばかりで、寝場所としてはすごく快適とは言えない感じでした。
それでも、焚火をしたり楽しく過ごしました。

夜、寝袋の上になんとなく重さを感じたと思ったら、ピョンピョン跳ねて行ってしまった。たぶんガマガエル・・・
夜の間、終始蚊に襲われて、私は両マブタを刺されてひどい顔になり、同行者の一人は顔も手もアンパンマンみたいになってしまいました。
虫よけ対策が貧弱でした、反省!
2日目:ナルミズ沢遡行から天国のツメ
翌日は大石沢出合いに泊まりの荷物をデポし、6時頃にスタート。長い一日になります!
いよいよナルミズ沢を遡行します。
幕営地からほどなくして、魚留滝8mに到着。
右から簡単に巻けるようでしたが、リード&フォローの練習も兼ねて、滝の右を登ります。ホールドはあるけど少しぬめる。

魚留滝上部からの景色。
夏のブナの森が美しいなぁ。

だんだん、川幅が狭まってきました。
谷川の沢らしい、緑の明るい渓相です。

1400m付近の顕著な二俣は、左俣に行きたくなる様子でしたが、右へ。烏帽子山とジャンクションピークの間のコルを目指します。
全行程において、水量が多く本流が顕著なので、方向を迷う個所はここくらいでした。
ここからはいよいよ「天国のツメ」!

こんなに緩やか源流部、滅多にないのではないでしょうか?
ナメの続く沢の周りは、最近まで雪が残っていたのでしょう、ハクサンコザクラやオオバキスミレ?など春のお花(雪渓残ってなくて良かった・・・)
シモツケソウなど夏のお花もあります。
ムシトリスミレの群生地もあり、見ごたえありました。


水流が稜線すぐ近くまであり、ツメの道は明瞭です。
踏み跡を外さないように草原を歩いていきます。

稜線から長い長い下山とお花畑
歩き始めてから3時間半ほどで稜線に到着。
稜線上は新潟と群馬の県境です。北に行けば巻機、南に行けば朝日岳から白毛門。
地図上にいちおう登山道は記載がありますが、笹が茂っているのでヤブ漕ぎと思った方が良いです。

なんか先日の半馬蹄形から、こうゆう感じで笹と戯れることが多いな。
足元には雪渓が見えました。1400メートル付近の二俣をつめたら、この雪渓に当たっちゃう。
今回は雪が無くてラッキーでした…

ジャンクションピークまでアップダウンを繰り返します。
キツイです。
沢登りパートよりよっぽどキツイ。

やっとジャンクションピークにつきました。稜線にツメ上がってから1時間半ほどかかりました。
道標には「難路 Hardtrail」の文字。
確かに、難路!ハードでした。

その後、朝日岳までの一般登山道が、どんなに有り難く身に沁みたことか。
管理や草刈りをしてくれる皆さん、本当にありがとう…!!
朝日岳東面の宝川に降りる登山道には、なんとなんと、谷川連峰の圧倒的アイドル、ホソバヒナウスユキソウの群落がありました。
モフッ!
この時期でまだ咲いてるのか〜きっと雪解けが遅いからですな。

人が入らないからでしょう、登山道上にもびっくりするほど群生しています。
谷川岳本峰も、近代登山以前はこんな感じだったのかなぁ…
その後はひたすら登山道を下山。10時半ころに下山開始し、林道のゲートにたどり着いたのは17時半ころになっていました。
宝川林道のパートは藪漕ぎですが、その他は比較的道が分かりやすいです。随所にマーキングもあります。
ただ、アブはすごい。

さすがに下山が長いです。デート沢というけどケンカになりそう。
沢の帰りでちゃっちゃと降りたいと思わず、山域を沢から尾根から味わう、と思って楽しむのが吉です。
まとめ
奥利根の名溪と言われるナルミズ沢、ずっと行ってみたかった場所に行けました。
同行の皆さんも愉快で、辛くも良い山行となりました。また行きましょうね。
ところで、私は高校山岳部で紙の地図を使った読図を習って以来、紙の地図がないと地形を想像できません。昭和なのです。
とくに沢登りの時は、水線を入れて持っていくと楽しみが増えると思っています。GPSだけを見てるより、山域全体を楽しんでいる気分になります。
宝川林道からナルミズ沢周辺のエリアを見ると、周囲を岩がちな険しい山々に囲まれる中で、奇跡のように穏やかでしたが、山の神様が作ってくれた天国地帯であることが、地図からも読み取れますね。

ちなみに、地図はMap25000pdfを使っています。
磁北線も入れられるし、余分な表示は無いし、めっちゃ便利です。
この間、山と渓谷のチャンネルの「「山録」あなたの人生、教えてください。」で、後藤真一さんが遡行図の書き方を実演されているのを観ました。
その中で紹介されていたのは、谷筋を入れる時は尾根まで伸ばすこと、標高を入れておくこと、エスケープを入れておくこと、など。
「狂気の遡行図」とタイトルにありましたが、全然狂気ではない、至極まっとうでスタンダードな方法に思えました。できる所は真似してみたいです。