夏の半馬蹄縦走|湯檜曾川新道から蓬ヒュッテ・谷川岳へ

近くて遠い山小屋、蓬ヒュッテに泊まってみたくて行ってきました。
アドベンチャー要素多めの初日、お花の稜線歩きの2日目、盛夏の山を楽しんできました。
それにしても暑いです・・・。
山行の記録
- 日程:2025年7月27日〜28日(1泊2日)
- ルート:湯檜曽川沿い新道 → 蓬峠(泊)→ 武能岳 → 一ノ倉岳 → 谷川岳 → 天神平よりロープウェイ下山
- 距離:約19㎞
- 累積標高差:登り1830m、下り1240m
- 天候:晴れ(猛暑)
- 行動時間:1日目:6時間/2日目:7.5時間

1日目 土合~新道~蓬峠
白毛門の駐車場に車を置き、新道を歩きます。
途中いくつかの沢を越えていくので、沢水で身体を冷やしながら行きますが、それでも暑い!

芝倉沢手前の虹芝寮を過ぎると、道が一気にハードになってきました。
倒木が多く、沢のへつりは道が崩れている所があるので、気を使います。
この湯檜曾川沿いの道は通称新道と呼ばれています。明治初めに「清水越え新道」として、上越国境を結ぶ幹線道路になるべく、整備された歴史もある道です。
ただ、現在はわずかに残る墓石や、茶店があったと思しき平地以外、すっかり自然が勝っています。

それでも、湯檜曽川から離れて尾根を登り始めた辺りは、美しいブナ林と幅広の道や九十九折りの坂道になっていて、街道であった往時を感じられます。
ブナの極相林になっているから、明るくヤブにもなりづらいのでしょうか?

何年振りかに訪れた白樺避難小屋、しっかり健在でした。
谷川岳周辺の避難小屋は、ドラム缶を半分に切った形というか、いわゆるカマボコ型が多いのですが、こちらは送電線を所有するJRの建物なのでタイプが違います。
小人さんの家みたいです。色も緑でかわいい。

白樺避難小屋から少し進むと、清水峠に向かう道との分岐となります。
今日は蓬峠に登り上げる道を進みます。ここからは、笹が繁茂していて、一般登山道としてはハードモードになってきます。
刈り払いをしてもどんどん茂ってしまうそう。そもそもここまで草刈りに来るのがかなり大変ですね・・・
道はしっかりと踏み固められているので、上越国境の笹と触れ合いたい人にはおすすめの道!!

白樺沢は登山道に上も雪渓が残っており、急な斜面をずりずり降りました。途中尻もちをついてヒヤリ。
下流にトンネル状の雪渓が見えます。威圧感があります。
沢を渡り切ってから振り替えると、頭上にもかなり雪渓が残っており・・・ヒヤリ。

このあとも笹の海。たまにガレ場。
とにかく暑いし、道は悪いし、パートナーも私も疲れて無口になってきました。
稜線までいくつか沢地形を通るので、雪が残っていない事を祈りつつ歩きます。

お昼過ぎ、国境稜線上の馬蹄形の登山道に合流。
コースタイムが4時間半くらいの所、6時間くらいかかってしまいました。
なかなかに疲れました。汗とドロでギタギタ。笹の海を泳ぐのは覚悟が必要です。

蓬ヒュッテ滞在
今日の目当ては蓬ヒュッテ。小屋に着くと誰もおらずちょっと不安。
山小屋は入って右側が食事スペース、左側が二段の寝るスペースになっていてます。定員は20名。

蓬峠から土樽方面に下った所には水場がありますが、枯れそうだという情報を聞いていたので、途中の沢で水を汲んでおきました。
持ってきた浄水器を通します。こちらのSawyer(ソーヤー)の浄水器は軽いし小さいし、使い方も簡単です。

散策を兼ねて水場の様子を見に行くと、ちょろちょろですが水が流れていることを確認できました。冷たくて美味しいお水でした。
以前はパイプが挿してあり、そこから採水できたのですが、先シーズンの大雪の影響か土砂で埋まってしまったそう。現在は湧き水が少し表面を流れている所をすくう感じ。
なんにせよ、この猛暑で枯れない湧き水は本当にありがたい。

その後小屋に戻ると、馬蹄形を歩いてきたパーティーと小屋番さんが到着。静かだった小屋はいっきに賑やかに。
寝床の準備をしていたら、シュラフカバーと思って持ってきた袋が、実はテントのグランドシートだった事が発覚。
うーん、急いで用意するとダメですね。気をつけよう・・・

5時半、待ちに待ったお夕飯となりました。メニューはシンプルイズベスト、カレーです。
おかわりは無いので、少食の人以外は足りないと思います。おやつ・おつまみ持参を強く推奨です。
ちなみに、この時はビールやジュース類が売り切れてしまっていました。ご飯のお供も持参が必須です。

翌朝は4時10分頃から朝食となりました。
メニューは炊き込みご飯とスープ。暖かいものが食べられるのは嬉しいです。

ちなにに、蓬ヒュッテのトイレ(バイオ式)は管理人さんがいる時の宿泊者以外は使用中止のようです。トレペ持参おすすめです。
また、周辺にテント場はありません。一帯は幕営禁止です。
管理人さんが不在の際は小屋内でビバーク可能です。有料(5,000円)と書いてありました。
夕食後、ちょっぴりお喋り。現在の管理人さんは4年前(だったかな)に小屋を受け継いだのだそう。
夏の間は馬蹄形を目指してくる方が、途中でリタイアしてしまい、当日キャンセルが多いとの事でした。小屋としては大変な事ですね・・・
谷川連峰は標高が低いので夏はめちゃ暑いし、春から初夏は虫が多い。しかも残雪がある。という事で、馬蹄形のおすすめは圧倒的に秋だそうです。
馬蹄形ルート上の貴重な有人小屋である蓬ヒュッテ。みなかみ側からだと近くて遠い山小屋、少し心の中で近づいた気がします。大変お世話になりました。
2日目 蓬峠から半馬蹄形
ここからは谷川岳を目指し、馬蹄形の半分を歩きます。
まずは武能岳へ笹の海を進みます!朝露で濡れるので、レインウェア装着。

武能岳へ向かう途中の稜線上に、動物の足跡がありました。
蹄の跡だったので、イノシシかシカか、カモシカ?

武能岳から茂倉岳へ向かう途中は、笹平と呼ばれる広い鞍部になります。
その名の通り、笹の広がる稜線はこれぞ谷川連峰!という景色です。
標高は1600mそこそこ、人里から近く、でも山深くい笹の海。

突然、黒くて大きな鳥が稜線を横切りました。一瞬カラスかと思いましたが、ずっと大きい猛禽!
まったく羽ばたかず、風に乗り、滑るように飛んでいってしまいました。イヌワシかな!?
笹平から400m登り返し、今日の最高地点である茂倉岳に到着。
谷川岳オキノ耳より1mだけ高いのです。
周囲は雲に包まれて眺望はありませんでしたが、涼しくて気持ち良い山頂でした。

蓬峠からも笹が茂っていて進むのが大変でしたが、ここからは歩きやすい道が続きます。
笹の背が低いので色々な夏のお花が咲き乱れ、しかも涼しい・・・
昨日のドロドロギタギタと比べると、天国みたい。

一ノ倉の雪渓も上からのぞくと圧巻です。
まだまだ雪が残っています。

一ノ倉岳からオキノ耳、トマノ耳と進むと、びっくりするほど人が増えてきました。
肩の小屋でまったり涼みながら、小屋番さんとしばしお喋り。連日お疲れ様です。
昼過ぎには天神平まで降りてこられました。
下山メシは土合駅前のANDo&Cafeさんへ!久々にオーナーさんとスタッフさんにご挨拶。
最近テラス席を増設されて、川沿いですごく良い雰囲気です。外だから汗臭い自分が公害になる心配もない。
美味しくてボリュームもあるので、腹ペコ軍団にも間違いないです。とってもお薦め!


チーズケーキも絶品らしく、食べたかったのですが、あまりにお腹いっぱいで諦めました。また行こう!!
しかし、私の顔ヤバイ・・・もしこんな顔色の人がいたら、脱水気味なので声をかけてあげよう。
引き続き熱中症に気を付けて、健やかに夏を過ごしましょう!