谷川岳の全層雪崩 観察記録

今月上旬、谷川岳の山頂直下から全層雪崩が起きました。

少し時間は経ってしまいましたが、先輩ガイドさんの調査について行きました。

ロープウェイから見たデブリ
ロープウェイから見たデブリ

ロープウェイのゴンドラから見ても、かなりの規模。

沢沿いには10mくらいの高さの綺麗な滝があったのですが、完全に埋まっています・・・

リフトを利用して天神峠まで登ります。

ほど良きところからアイゼン装着して歩きます。

夏道が出ている所があり、アイゼンに土が掘られてしまうので、なるべく雪を歩くようにします。

天神尾根上はまだまだ雪山
天神尾根上はまだまだ雪山

雪崩の全貌が見えてきました。

標高1800m?から上は、完全に笹原が出てる。

その下は雪の上を雪と泥が滑り落ちたような跡になっています。

雪崩の上部
雪崩の上部

近づいてみる。

ブロック状の雪の塊がゴロゴロしています。

雪崩が起きてから、かなり融雪は進んだはずですが、この規模。

ブロック状の雪塊がゴロゴロ
ブロック状の雪塊がゴロゴロ

肩の広場と呼ばれる山頂直下の斜面を東側にトラバースして、破断面に近づきます。

日射で雪がズブズブして滑るので、ちょっと怖い。

4~5mの厚みで雪が割れている事が分かりました。

破断面まで降りていく
破断面まで降りていく

天神尾根の西側は、地形的に雪が溜まるのか?

7~8mはありそうなクレバス状になっていました。

こちらは落ち切っていないけれど、絶対下に入りたくないなー。

天神尾根西側の大きなクレバス
天神尾根西側の大きなクレバス

観察している間に風も穏やかになり、良いお天気になりました。

下山して、今度は雪崩の末端を見に行きます。

田尻沢の林道、シーズン中はスキーで滑っていたので、歩いて登るとやたらと傾斜を感じる。

デブリ末端、沢がじゃんじゃん流れていて、恐ろしげな雰囲気です。

デブリ末端に近づいてみる
デブリ末端に近づいてみる

デブリに登ってみました。とにかくドロドロ。

さらに木や笹が巻き込まれていて、険悪な雰囲気。

災害の後か、廃墟みたいです。

デブリはどろどろで木・笹・石が巻き込まれている
デブリはどろどろで木・笹・石が巻き込まれている

今回の雪崩はサイズ4、列車やトラック、建物も破壊する規模だそう。流下標高差約1,000 m, 流路距離約2,800 mとのことです。

ロープウェイの鉄柱もスレスレでした。被害が無くて良かったです。

山を歩いている間も、遠くから「ドーン」という音が響いていました。

まだまだ全層雪崩の時期は続いているのですね。春の山の恐ろしい一面です。

流下距離3㎞の雪崩
流下距離2.8㎞の雪崩

この日、下山途中で小屋番さんとすれ違いました。

小屋明けまでもう少し。とんでもない量の荷物を運んでおられました。

今年もお世話になります🙏

そして谷川岳ヨッホの皆さん、いつもありがとうございます~

またすぐ伺います🙏

■記録

2025/4/21 天気:晴れ、AMは強風

ベースプラザ(8:30)⇒天神峠(9:10)⇒雪崩破断面(11:20)⇒天神平(13:10)⇒田尻沢デブリ末端(14:00)